2012年

2012年

あけましておめでとうございます。気がつくとすでに1月も半ばを過ぎ、忙しく走り回っている。国連総会PKO特別委員会が2月に始まるので、私は毎年1月2月はとても忙しい。

正月三が日はお休みを頂き、しかも今年は旅行もせずに家族でメいっぱい日本の「伝統的お正月行事」を行う。娘たちと作った様々なおせち料理は自分でもなかなかすばらしいできばえだと
思ったけれど、スウェーデン人の夫は元旦一日(頑張って)食べた後に、遊びに来ていた夫の母は元旦の朝1回味見してギブアップ、娘たちも2日目には「もう食べたくない〜」。結局、大量に余りそうだったので、2日に長年の友人たち数人を呼んで「日本の伝統的お正月料理」を体験してもらう。それでも終わらず、私がその後数日間一人で黙々と食べる羽目に。海外で日本の伝統を守るのは難しいけれど、7日には七草粥をつくり、11日には鏡開きをし、そのつど行事にこめられた意味を説明する。

一年の初めに考えたことをいくつか。今年は日本にとって復興の年にしなければならないが、同時に未来に向けて大きな決断をしなければならない年でもあろう。政治家も官僚も、「党益」「省益」「組織の利益」といった目先の小さな利益で動くのではなく、国民の利益と大きな意味での国益を考えて責任ある行動をしてもらいたい。国連でも同じ。「PKO局のために」といった議論は言語道断だと思っている。どこにいても責任ある立場にいる者は、大きな利益を見極める能力と、大局的な利益をなるべく効果的に追求できるバランス感覚、そしてしがらみや圧力に負けずに真に責任ある行動が取れる勇気を持たねばならない。これらを私も磨いていきたい。

他方、今年は私にとっては迷いの年にもなるかもしれない。詳しくは書けないが、これまで何回かごく内々にではあるが昇進の打診を受けてきた。いろいろな事情で辞退してきたが、これからどうするか、どうしたいのか。これまで家庭もキャリアも両方とも妥協せずにやってこれた幸運な私だが、今の段階でより多くの責任を負うことは娘たちにも負担になるのではないか。自分の中でいろいろな思いをとりあえず整理しなくてはとも感じている。

話は全く変わるが、我が家で近頃良く話題に上るのがケプラー22b。NASAケプラー探査機が最近発見した、地球から600光年の距離にある地球型惑星だ。娘たちは宇宙船にのってケプラーに向かって旅をしたいかしたくないか、などとよく話している。地球外知的生命を発見するのは時間の問題だという。私たちが宇宙で唯一の存在でないということがわかった時点で、人類の文明と歴史は新しい時代・パラダイムに入るのだろう。私が生きている間にそうなるのかはわからないが、娘たちの人生ではありうること。新しい時代を作っていく世代をしっかり育てていくことも、大切な責任だと痛感している。