近況報告

去年の8月からブログを更新していなかったので、どうしたのですか、大丈夫ですか、仕事やめたのですか、とのメールまでいただく始末。政策部長からアジア・中東部長に異動してからというもの、ともかく忙しかったというのが言い訳です。勤務時間中のスケジュールが分刻みなのは当然として、何か事件があると夜中でも週末でも即対応しなくてはならない。

もうひとつさらに大きな理由としては、中東やアフガンという地域を担当するということは、要するにこの地域での国連の危機管理の実質的な責任者というわけでもあり、意図しなくとも私の発言が非常に政治的な意味を持って受け止められてしまうというリスクが高く、ともかく気を使うことが多くなったこと。実は昨年10月の約2週間のアフガン出張や、今年2月の中東(シリア・レバノンイスラエル)出張中もフライトの中でいろいろ書いたのだが(iPad便利ですね)、その直後のアフガンやシリアでの状況に鑑み、ブログに公表することは適切ではないと考え結局アップロードを控えた経緯もある。日本のメディアにも報道されていたが、シリアで国連要員の人質事件を抱えている最中に、私の個人的な印象などを語るのはどう考えても不謹慎だろうと思う。

アジア・中東部長としての近況報告は、去年内閣府国際平和協力本部のリレー・エッセーに掲載されたインタビューもご覧いただきたいと思う。(http://www.pko.go.jp/PKO_J/info/messages/relay_5.html)西は西サハラから、去年の末に東チモールのミッションを成功裏に閉鎖することができたので東はアフガニスタンまでを担当し、真中に中東地域。やはりもっとも時間をとられるのはシリア・レバノンなどの中東地域である。中東の地域専門家ではない私にとっては、勉強し理解しなければならないことが山ほどあって、毎日大変だけれども、刺激に富んだ毎日だ。と同時に、膠着状態にある安保理のため現段階では国連が効果的な活動ができないシリアの情勢には、毎日心が痛む。そして、2月に実際に現場に入ってその状況を目の当たりにした。シリアへの出張は私にとってはボスニア以来ほぼ20年ぶりの、本当の意味での激戦地域への出張であった。

プライベートでも忙しい日々。これまでずっとNJにある私立の全日制日本人学校に通ってきた次女を、アメリカの私立学校に転校させるための「お受験」。アメリカでも私立学校は基本的に幼稚園や1年生から入るのが一般的なので、4年生からの編入というのは空きができたら可能ということで、入れるかどうか心配だったけれど、何とか引っかかってくれた。学校訪問、子供の面接、両親の面接、子供の性格や家庭の考え方などをエッセイにまとめる願書の準備(英文5ページのエッセイ!)、そして子供の学力テスト。(このテストというのが知能テストのようなもので準備不可能といっても過言ではなく、サンプル問題をウェブサイトで見つけてやってみたところ、夫・私・中学2年の長女全員が解答不能という問題がいくつかありました!)当日、次女は1対1の口頭で行われる約3時間のテストを、何とかパス。こちらの学校は9月入学なので、目下入学準備中。そしてこれからは、日本語をいかにキープしていくかとの格闘になる。

長女は13歳にしてすでに私の身長を超え、成長に目を見張るばかりだ。勉強も自分でやりたいことが増えてきて、かなりがんばるようになった。特に興味のある分野ができてきて、それがなぜか理系。両親とも典型的な文系なので、不思議なことだ。全国テストと大学受験資格テスト(SAT)を受け一定のレベルに達した生徒むけのサマープログラムに合格し、この夏3週間ペンシルバニアのある大学のキャンパスで「解剖学と生理学」を学ぶことになった。典型的な親バカの娘自慢で申し訳ありません。

娘たちにはもちろん幸せな人生をおくってほしいと思っているが、同時に彼女たち持つものや教育によって与えられたものを、他の人や社会に役立てたい、と思う人間になってほしいと思う。そして、彼女たちを見ていると、多分そういう人間になってくれるのかな、という気がしている。