近況

目も回るほど忙しいとはこういうことか、というほどこの数週間は忙しかった。国連総会のサミットレベルというのは1週間で終わるのだが、各国の外務大臣その他閣僚レベルの人たちがその後数日くらいはNYにとどまることが多い。そして2−3週間くらいは各国外務省や国防省の局長レベルの人たちが入れ替わり立ち代りやってくる。サミットレベルでの会合は事務総長とせいぜい事務次長レベルの同席なので私にはあまり関係ない。上級部長という私のレベルだと、むしろ「サミット後」の期間のほうが忙しくなる。普段は夕方以降のレセプションなどはほとんど出席しないことにしている私も、この期間にはいろいろな国のレセプションに、時には一晩に2つ掛け持ちで出なくてはならなかった。

若いときも、現場でも、忙しい仕事はよく経験しているつもりだが、ここでの忙しさはちょっと違う。いろいろな会議や会合のスケジュールが朝から晩まで隙間なく入り、そのいずれの会合でも議論を主導するか、最低でも5分10分くらいの発言をPKO局を代表して求められる。前の会合ではチャドのPKO活動の評価ミッションからの勧告のサマリーを話したかと思うと、次の会合では国連PKOEUの協力関係についての会議の議長をやり、その次の会合ではPKO改革プロセスの進捗状況について加盟国のグループの前で発表する。スタッフから「Talking Points(発言要綱)」というメモをもらうけれども、お手洗いに行く暇すらないほどびっしり会合が次から次へと入ると、はっきり言ってそんなものに目を通す時間はない。日ごろから様々なことに目を光らせて理解を深めておくことが必要であるのはもちろんだが、近頃はしゃべりだしてから(もちろん英語です)同時に頭の中を整理して発言するコツというのを身につけつつある。何事も慣れと訓練だ。

忙しい期間はあと2週間くらい続く。実は、国連安保理決議第1325号というのがある。「女性と平和・安全保障」というテーマの初の安保理決議で、要するに女性が和平プロセスや平和構築のプロセスにフルに参加することがいかに平和と安全保障にとって重要であるかを宣言した安保理決議であるが、今年はこの決議が採択されてから10年目にあたる。これから2週間くらいの間、この10周年記念の様々なイベントが安保理をはじめとして国連周辺の様々なところで行われ、事務総長、PKO局およびフィールド支援局の間で手分けしてこれらのイベントをカバーしなくてはならず、私のカレンダーにもいくつか予定が入っている。

きちんとした内容のブログ更新はなかなかままならないのだが、大阪地検特捜部の証拠改ざんのニュースには今の日本のいろいろな問題が集約されているようで、一息ついたら考えをまとめたいと思っている。