桜の木

待望の雨が降る。これで庭の草木が少しでもよみがえってくれれば良いが。

雨が降るとカントリーハウスではあまりすることがない。食事に手間をかけておいしいものを手作りしたり、読書をしたり、トランプしたり。または食料品の買出しなどで街に出るくらい。

子供たちは義母と別荘に残り、私と夫で買出しなどに出かけることにする。まず、うちから40分くらいのところにあるIKEAに行く。IKEAは、キッチンなどいろいろなところをリフォームするためのデザインを考えるのに便利なコンピュータのプログラムがあって、端末を使ってキッチンのデザインを作る。全体的に古くなっていて、木のカウンターが痛み、流しのふちのところから水が漏れそうになってきたので、作り変える計画。スウェーデンのキッチンの流しはとても小さい。この別荘に来るたびに、小さな流しで大きな中華なべを洗おうとするたびにいらいらする。なので、日本から大きな流しを買って送った。これをはめ込んでキッチン全体のカウンターを、水や熱に強い素材で出来たものに取り替える計画。IKEAで夫とともにコンピュータを操り、1時間くらいでデザインをプリントすることが出来た。

そのあと、IKEAの近くにあるストックホルム近郊では最も大きな植木屋さんにいって、桜の木とかえでの木を注文する。大雨の中かさをさして色々な木を見てまわり、詳しい説明を受けたり、私のほしいタイプの木を時々夫の通訳を交えて伝える。桜の木は、敷地内の湖側のとても日当たりのところにすでに穴を3つ掘ってある。かえでは、アプローチから家の玄関側の日本庭園風のところに2本植える予定。かえでは、「大盃」という大きめの葉が春の新緑から秋には紅葉に変わっていく種類を2本。面白いことに様々な木が、日本の名前のまま売られていた。私のオーダーしたかえでは”Osakazuki”。桜は種類も多くて選択が少し難しい。「太白」、「関山」そして枝垂桜の3本をオーダーしたのだが、家に帰って桜の専門書(別荘には桜とかえでと藤の専門書がおいてある)をくわしく調べたところ、葉が先行したり、花と葉が同時に出てきたりするタイプであることがわかる。ここは冬寒すぎてソメイヨシノは無理としても、これはまずい。帰ってから植木やさんに電話し、桜の方は花がまず先行して、花が終わった後に葉がでてくるものでなければならないことを説明。植木屋さん曰く、「オーダーされたタイプは、花も長持ちして良いんですがね。」違うの。桜は潔く散って、葉桜になる。これは日本人の精神でもあるのだ、と説明したけれど、わからないだろう。ともかく、来週あたりいろいろな種類の桜が入荷するので、もう一度選びなおしましょう、ということになった。

いつか、たぶん娘たちが結婚するくらいの歳になったころ(20年くらい後か?)、桜が咲き誇る素敵な庭にするのが私の夢。すでにたくさんの牡丹の木、藤を2本、キングサリ、つるバラなどを植えてある。5月から6月の庭はそれは美しいそうだ。残念ながら、夏の数週間しかここに来ない私は春の花々を楽しむことは、今のところ出来ないのだけれども。

帰りに、食料品とワインを10本近く仕入れる。ものすごい雨。もうこれ以上降らなくて良いくらいだ。