スウェーデン的夏休みの過ごし方

スウェーデンの別荘での典型的な1日。

家族は相変わらず和室で寝ているが、私は4時には目覚めてしまうので、母屋の黒いブラインドと暑いカーテンをつけた部屋に引越し。さらにアイマスクをして寝る。それでも7時には目が覚める。日課の強いコーヒーをマグに1杯つくり、ベッドで本を読みながらゆっくり飲む。天気が良いので家族の洗濯をして、これも日本から送った移動式の物干し竿を庭に出して干す。9時半くらいにみなが起きてきて、朝食。ここでは納豆はないので、みんながスウェーデン式朝食。卵、パン、チーズ、ハム、ミートボール、レバーパテ、そしていつものスムージーをここでも。

子供たちの宿題を見たあとは、それぞれ庭で遊んだり作業をしたり。夫は、毎年何かしらのプロジェクトをもって肉体労働。これは実にスウェーデン的夏休みの過ごし方だ。スウェーデンではたぶんほとんどの家庭が別荘を持っているが、どのうちでも、毎年少しずつ建て増したり、リフォームしたり、理想の別荘の形に改良していく。別荘を持つのは、長期的なプロジェクトを持つこととも言える。

去年は、古くなった物置を取り壊しそこに物置を建てこれにペンキを塗った。物置と言っても、4mX7mの面積でちゃんとした屋根もついている。外には暖炉の薪を置く棚も作った。この物置に、芝刈り機とか、自転車とかその他もろもろの大工道具、チェンソー、庭仕事の道具を入れて鍵をかけておく。実は以前、立替前のゲストハウスにこれらの道具を保管していて、泥棒に入られ一切合財を盗まれたことがある。

今年は、裏庭の整備とバーブガーデンのボーダーのレンガの積み替えらしい。早速セメントを買いに行き、土台の木枠を組み、なんだかやっている。

私は、大きなプロジェクトのデザイン担当。ゲストハウスの和室への立替も私のアイデア。そして、ここではじめてのリフォームのプロジェクトであった、元車庫兼大工仕事の作業場であったところを寝室にリフォームしたのも私のアイデア。床暖房をいれて明るい色のタイルを敷き、床までの大きな窓をいれるとそのスペースはかなり大きな寝室に生まれ変わった。来年当たり、この寝室の外の元車庫への入り口だったところに黒いストーンタイルを敷いて、テラスにしようと思っている。こういうプロジェクトはお金がたまったら少しずつやっていく。

次のプロジェクトは、日本のお風呂を作ること。実は、日本の深い風呂桶を買って2年前にすでに送ってある。今はシャワーだけしかないのだが、かなり広いシャワールームなので、ここに風呂を作る。色々な雑誌を切り抜いてデザインは決めており、目下タイルなどを見てまわっているところ。お風呂があれば、冬も来てみても良いと思っている。いつの日か、敷地内の湖が一望できるスポットに露天風呂を作りたい。この眺めを見ながらの露天風呂・・・

湖から水を汲んで、フィルターで越して、下から沸かす五右衛門風呂みたいな。ここの水は鉄分が多く少し茶色なので飲むには癖があっておいしくないのだが(水道は通ってないのでこのあたりはどこも井戸を持っている)、健康にとても良いのだという。子供に無理に飲ませる親もいるくらい。そんなお湯に入ったら、温泉のようにいかにも健康によさそうではないか。

それから、敷地から母屋に向かう入り口部分を日本庭園風にデザインするのも、私の目下のプロジェクト。母屋全体に家に防水工事をした数年前以来、正面の玄関がなく、これをつくるとともに、その正面に小さい石を敷き詰めて踏み石を入れて、日本風にする。こちら側の庭には日本のもみじなどを植えようと思っている。玄関のデザインは結構難しく苦労している。日本家屋は平屋でそのまま家に入る玄関があるのが普通なので、階段を上って玄関になっているサンプルを本や雑誌で見ることがないのだ。

さて、私の最も大きな役割はなんと言っても毎日のおさんどん。森の中の一軒家のようなものなので、ごく小さなスーパーが車で5分のところにあるが、出来合いのものを買える店があるわけでもなく、当然ながら朝・昼・晩と3食下ごしらえからしなければならない。昼食のピザまで手作り。でも健康には良いだろう。料理は好きなので苦になるわけではないが、家族に加えて、夫の母、夫の弟一家など毎年大人数が集まり何泊もしていく。去年は私の弟一家がフィリピンから、父も日本からやってきた。そして、料理が出来るのは私だけなので、ちょっと大変。ただ、こうやって多くの家族が集まってわいわいとすごすことができるのを幸せに思う。これこそ、真に幸福な別荘ライフだと思う。