日本の政治

近日中にNY日本総領事館参院選の投票をしようと思い、候補者の情報・政治的信条・政策提言などをネットで調べる。この人なら私の1票を託してみようという気にさせる候補者は、残念ながら見つからない。悲しい。

私の仕事は、言ってみれば、紛争後の各地での新しい国づくりを手伝うことだ。なので、選挙における「一票の意義と重み」をいろいろな機会に間近に見ることができる。投票行動は、権利というより、国民としての義務であるとも思っている。(実際、ベルギー、アルジェンチン、オーストラリアなど投票が法律で義務化されている国もある。)他方、各国のいろいろな政治家とも会う機会が多いので、どの国でもほとんどの政治家たちの優先事項は当選することであって、そのあと国をどう運営していくか、に関して本当に骨身を削って真剣に考えている人は、実は少数であることも感じている。日本の民主党自民党が、血眼になってタレント候補者を探し出し擁立するのは、まさに勝てばよし、ということの現れであろう。日本はまさに未曾有の岐路に立たされているというのに、嘆かわしいを通り越して、恐ろしい気すらする。

現在ものすごいスピードで進んでいる情報革命は、18−19世紀の産業革命以来の地球規模の大変革である。イギリスに始まった産業革命は、工業化に伴って労働階級の発生、人口の都市集中、産業構造の大変化など、大きな社会変革をもたらしただけでなく、貿易拡大や植民地主義の進展など、地球規模で世界に大きな地殻変動を及ぼした。情報革命は、私たちの社会にさらに深い変革をもたらし、地球規模での大変革をもたらすだろう。日本はどこへ行くのか。私は、「日本はこのごろ元気がない」とか、「日本の国際的地位が近頃低下している」とか言うレベルの問題ではないと思うのだ。

政治の役割は、もちろん緊急の課題に取り組むこともある。財政再建景気対策はもちろん最重要の課題だ。ただ、この大変革の時代にあっては、国の中・長期的な、大きなヴィジョンをまず示すことが必要だと思う。少子高齢化だって、少なくとも20年前には予測できていたことだ。そして現在も、与党・野党とも、ヴィジョンらしきものを提示しているとは、到底言い難い。そして、私は「右・保守」と「左・革新」で単純化して議論される現在の日本の政治ブロックのいずれにも同感することができない。さて、どうしようか。参院選を機会に、考えてみよう。