シリア情勢と日本の国内政治

シリア情勢が緊迫している。安保理ではここ数日、モロッコが提出した決議案の交渉駆け引きが続き、各国のメディアの報道も加熱している。アラブ連盟が求めるアサド大統領からの政権移譲を、安保理が支援できるか。リビアでのNATO軍事行動の結末としての政権交代が大きなしこりとなっているわけだが、シリアに大きな利益を持つロシアが拒否権を使うかが焦点だ。

シリア国内には、ゴラン高原イスラエルとシリアの停戦を監視するUNDOF(国連兵力引き離し監視隊)というPKOがあり、週3回の朝の定例幹部会議でシリア状況に関しても詳細なブリーフがなされるようになった。ちなみに、UNDOFには日本の自衛隊も派遣されている。

これは全く個人的な意見だが、アサド大統領に残された時間はそう長くないだろう。自国民にこれだけの危害を加えながら権力を維持できる時代は、終わろうとしている。国民の声と力が変革をもたらす。国際社会はそれを支援する。そういう時代になった。シリアでの変革は、パレスチナ問題やイランも含め中東全体に大きな影響を及ぼすだろう。目が離せない。ちなみに、2月半ばからエジプトに出張する予定なのだが、カイロもまた暴動が起こっているようだ。予定通りいけるだろうか。アラブ連盟本部はカイロにあって、そこも訪問する予定にしているが。

毎朝の習慣でネットで日本の新聞をチェックするが、シリア情勢はほとんど報道されていない。「石原新党」結成なるか、という報道ばかりが目に付く。なぜいまさら80歳の石原慎太郎なのか、私には到底理解できないが、産経新聞によれば基本政策の前文では『「グローバリゼーション」や「地球市民社会」などを幻想と断じ、「一国家で一文明」の日本の創生を訴える』そうな。そして、大阪の橋本市長がこれに連携するかが焦点の的のようだ。

日本の国内政治における「保守」と「リベラル」の分類に強い違和感を持っている。私は日本を、グローバリゼーションの進む世界の中で、そのルール作りにもリーダーシップを発揮できる強い、尊敬される国にしたいと思う。世界で起こっていることに目をつぶり、世界に背を向けて狭い島国にしがみつくのが「新しい保守」なのだろうか?旧態依然とした「保守」と「リベラル」のレトリックではなく、新しい日本を切り開ける視点が必要なのに。最も、80歳の彼にこれを期待するべくもない。橋本市長という人が政治的に鋭い勘を持っている人ならば、こうした後ろ向きの流れには組しないのではないか。

それにしても、シリア情勢について発言した日本の政治家はいるのだろうか。