コンゴNo.3 カレヘ基地

 昨夜はブカブのMONUSCO南キヴ旅団基地(パキスタン軍)でブリーフを受けた後、夕食をご馳走になった。パキスタン国内での軍はビンラディン殺害後、不安定要素を抱えているが、ここでは皆、国連PKO活動に貢献できることを誇りに思っているとのこと。

 今日は朝から車で約1時間半ほどかかるカレヘという村の基地を訪問する。車で移動中の現地の様子は非常に印象的だ。

 コンゴという広大な国でのPKO活動の成功の鍵のひとつは、軍事部隊がいかに機動性を持って動き、その存在をもってして市民への武装勢力の攻撃、女性へのレイプを含む人権侵害を防ぐことができるか、というところにある。したがって、コンゴ東部にいくつもの常設の基地または移動基地をもうけ活動拠点としている。

 カレヘはそのような基地のひとつである。ここを拠点にパキスタン部隊は市民の保護のため地域のパトロールを行う。ここ2−3ヶ月、このカレヘ基地の周辺でコンゴの正規軍(FARDC)が訓練をしているということなので、その視察もし、現地のコンゴ人司令官に様子を尋ねた。

 コンゴの内戦では、正規軍のほかにいくつもの武装勢力が対立しているが、正規軍を訓練し支援することによってその能力を高め、規律正しい軍隊に組織していくことにより、内戦そのものを終結させるとともに地域を安定化させていくというのが戦略だ。ただし、これは実際は非常に困難なことである。現在コンゴ東部での市民への人権侵害行為の半分以上が正規軍のFARDCそのものによって行われているほどなのだ。長年の内戦にともなう政府機能の脆弱化によって、兵士たちへの給料の支払いも滞りがちであって、彼らは略奪や違法な「税金」徴収によって生計をたて、地域の女性をレイプする。このような軍を改革し訓練しなおすのは至難の業。カレヘ基地の周りの訓練地には、兵士たちの家族が藁で作った「家」が立ち並び、彼らの困窮度が伺えた。

 カレヘ訪問後、国連のヘリでブカブからゴマに移動。夕方ゴマに到着。ここはルワンダとの国境の街。1996年に訪問した際の、100万人ほどのルワンダ難民であふれていた情景が今でも目に焼きついている。