駆け足のダッカ訪問

 このところものすごく忙しくブログを更新する機会がなかなかないまま、出張にでる。(出張中は飛行機のなかでブログを書くことができる。)今回の出張ではまずバングラデシュダッカを訪問。目的のひとつはPKO訓練センター国際協会(International Association of Peacekeeping Training Centers: IAPTC)の年次総会に出席すること。これは国連加盟国のPKO訓練センターの集まりだが、毎年持ち回りで総会を催し、私がPKO訓練の全体の方向性や進捗状況、課題などを国連の視点から基調講演することになっている。この総会のホスト国は、去年はオーストラリア、今年はバングラデシュ、そして来年はアメリカである。今年の開会式はバングラデシュの大統領がいらして行われたので、来年のホストのアメリカの代表に、ぜひ来年も同じような開会式にして欲しいとお願いする・・・

 バングラデシュは2010年10月末の段階で、国連PKOへのトップの部隊提供国(約1万人を派遣)である。つまり我々にとってはとても大事な国であるので、会議にはオープニングのみ参加して、私は別に政府要人との様々な会合プログラムが組まれていた。外務省、国防省、陸軍本部を訪問し政府各部門の様々な関心事項や懸念などを話し合い、国連事務局側でできることはないかどうかを検討する。トップの部隊提供国であるにもかかわらず国連本部のPKO局にバングラデシュ人の幹部職員がいないことを除いては、国連とバングラデシュとの関係は良好であるとの印象だ。

 2日目には軍が特別ヘリを用意してくれ、ダッカから200キロくらい離れたところで行われている、PKO部隊の派遣前訓練の様子を視察。この部隊は12月にコートジボワールに派遣されるという。これがなかなか面白かった。「シナリオ訓練」という手法で、PKO部隊が現場で遭遇すると予想される状況を組み立てて、実際にどのように対応するのかをシュミレーションで訓練する。1つ目のシナリオは、村が武装集団に襲われるというもの。PKO部隊がいかに武装集団から村を奪回してメンバーを捕らえて現地当局に引き渡すか、住民を保護して緊急の支援を行うか、などを訓練センター近辺の実際のバングラデシュの村の人たちの協力を得て大掛かりに行うものであった。しかもコートジボワール公用語であるフランス語を使って、である。2番目のシナリオは、武装集団による反国連のデモが行われた場合これをどのように鎮圧するか、というもの。いずれも真剣な訓練であった。お昼をご馳走になった後、ヘリの前でコートジボワールに派遣される部隊の司令官と写真を撮り、現地での再会を約束して別れる。


 ヘリでダッカに戻り、着替えて空港に向かう。カトマンズー、香港を経由してこれから東京・羽田に向かう予定。

 かつて「世界最貧国」とも呼ばれたバングラデシュだが、隣国インドの急成長の影響もあるのだろうか、街も人々も活気にあふれている印象を得た。