パリの休日

早朝パリに着く。

NY出発まで大変忙しかった。何しろ4週間の夏休みをとるので、終わらせるべき仕事を終わらせ、留守中を託す部下との引継ぎを済ませると金曜日の結構夜遅くまでかかった。それでも4週間も休みを取れるのは幸運だろう。国連でもまとめてとるのは普通は2〜3週間という人が多いのだが、PKO局の事務次長はフランス人。彼自身、夏のバカンスは最低でも4週間取るので、部下の私も当然OK。ちなみに、スウェーデン人の夫は今年は6週間の夏休みをとる。これでも、他のスウェーデン人外交官に比べると6週間は決して長くないのだ。みんな普通8週間とっている。皆がこれだけ長い休みを取るのに、スウェーデンの経済は日本よりうまく行っている。なぜだろう。

パリ行きは上の娘にせがまれて、NYからスウェーデンへのストップオーバーとして3日間立ち寄る。上の娘はスウェーデン語、日本語、英語に続いて第4番目の言語であるフランス語を2年前から習い始めた。フランス語がすっかり気に入った彼女は、国連インターナショナルスクールで幼稚園からフランス語をはじめた同級生を追い抜いて、9月から上級者クラスに入れることになった。20年ほど前に国連に就職してからフランス語(国連では英語とフランス語が作業用語)をはじめ、何千ドルものお金と多大の時間・エネルギーを費やしてもしゃべれない私に比べてなんという上達の早さ。子供がうらやましい。彼女が生まれた時、言語教育をどうするかで色々とリサーチしたが、3ヶ国語までは同時進行OKということだった。ただし当然のことながら言語の習得速度はモノリンガルの子供に比べるとはじめはやや遅くなる。これが15歳くらいで追いつくので心配は要らないとのことだった。そして2ヶ国語以上を言語を持っている子供は、「言葉を習得する能力」に長けるということであったが、うちの娘はまさにこの能力を自然に身につけたのだろう。(話はそれるけれども、私は藤原何某の主張する「英語など学ぶ必要なし」という主張はまさに敗北主義、日本の子供たちの将来の可能性をもぎ取る無責任で破壊的な主張だと思っている。)言語能力はすべての基礎で大切なので詳しくモニターしているが、彼女の学校での第1言語である英語と、スウェーデン語(彼女はスウェーデン生まれ)は学齢以上のレベルを保持している。ただし、日本語は学齢より2〜3年下に落ちているが。娘たちは2人ともたぶんアメリカかヨーロッパをベースに人生を送るのだろうから、日本語はもし本人たちが将来きちんと学びたくなったらそれが可能になるよう、基礎を作ってやればよいと思っている。

話がそれた。まずオペラ座近くにあるパリで最も有名なカフェ・ド・ラ・ぺで朝食。今日は時差ぼけで疲れているので楽をして、パリの代表的な観光ポイントを回って走っているダブルデッカーの観光バスに乗ることにする。チケットの購入とか、カフェでのオーダーなどを上の娘にフランス語でさせる。公式通訳だ。オペラ座の近くからバスに乗って、ルーブル美術館シャンゼリゼエッフェル塔コンコルド広場など代表的なものを降りずにバスの2階から見る。飛行機で2〜3時間寝ただけで(私は飛行機では一切眠ることが出来ないので徹夜)、子供たちもくたくたになっていたらしく観光バスで居眠りをしていた。我が家はいつも強行スケジュールなので娘たちもタフだが、さすがに早めに簡単な夕食を取り、ホテルに帰って7時ごろ就寝。ところが時差ぼけで夜中の2時ごろ起きだし、お腹がすいた、と私を起こす。やれやれ。