反省:三日坊主

本当にずい分間が開いてしまった。昔から日記は「3日坊主」の傾向があったが・・・妹からお叱りのメールが来ました。海外にはなれて暮すので、私の生活や普段考えていることに興味を持ってくれる家族がいるのは、本当にありがたいことだ。心を入れ替えて、アップデートを試みよう。

ここ数ヶ月、本当に忙しかったのだ。まず、ハイチ危機。私のところはオペレーションを担当しているわけでないが、最も有能なスタッフを3名、臨時の助っ人としてハイチに派遣。そして、過去の危機(たとえばバクダッドの国連本部爆破など)への対応からの教訓を抽出して、ハイチにどう応用可能かの情報を緊急にまとめる作業など。現場で役に立たない政策部門は、机上の空論であり役に立たない。

そして来年度(新年度は7月1日から)の予算編成作業。どの官僚機構でもそうだと思うが、国連でも、まず自分の部局内で予算案を編成し、局内での折衝そして事務局全体での折衝をするわけだが、主要加盟国での経済危機もあって、国連の予算環境はなかなか難しい。国連事務局内でのプロセスを経た後、ACABQ(行政財政問題諮問委員会)と第5委員会で審議され、6月の末に最終決定となる。長い話を短くして言えば、各国の厳しい財政状況のなか、ほとんどの部局が基本的にゼロ成長なのにもかかわらず私の部局の予算は、いくつかのポストの新設が認められたのだ。これには、いくつかの理由があると思うのだけれど、ひとつには、他の部局が大きな増加を求めたのに対して、私は最初から、基本的にゼロ成長を考え、どうしても必要なものしか求めないというアプローチでいったことが、加盟国から評価されたこと。そして、いくつかの加盟国からわが部局の昨年来の仕事ぶりが評価されたこともあると思う。内部折衝で削られ、第5委員会への最終予算申請には含めることが出来なかったポストの新設が、加盟国側からのイニシアチブで生き返るという、なかなかありえないこともおこった。

出張も数回。3月末のインドネシア。政府主催のPKOと平和構築の関連性に関するセミナーにスピーカーとして参加し、外務大臣と会見した。また国軍と警察のPKO訓練センターをそれぞれ訪問。警察の訓練センターでは、去年、ダルフールを訪問した時に大変お世話になった、インドネシア武装警察部隊の隊長と再会。また、これからダルフールに派遣される部隊を激励した。

インドネシアの近年の動きには目を見張るものがある。国内の民主化が進んでいるのはもちろん、G20のメンバーとして、グローバルなレベルでの役割を模索し、発言力を強めている。「国連PKO参加は、インドネシアのグローバルなレベルでのプラットフォームのひとつである」とは外務大臣からの、大変明確なメッセージ。国連としては、心強いものがある。ちなみに、「平和構築大国」のはずの日本だが、セミナーに姿が見えなかったのはなぜだろうか。

オーストラリアでの国際会議にも、スピーカーとして参加。有意義な会議だったとは思うが、NYから片道24時間以上、というのは大変でした。


アイルランドジュネーブ、ウィーン。以前はPKOにもっと積極的に参加していたヨーロッパ諸国に対して、「PKOへの帰還」を昨年から政治レベルで働きかけてきたのだが、少しずつ動きがでてきたようである。ダブリンでおこなわれた会議では、当国の外務大臣・国防大臣が出席していたが、国連PKO参加に関する国内での議論が活発になっているとの印象を得た。当地の日本国大使に会議でお目にかかり、大変よくしていただきました。

実は、このエントリーは、ワシントンDCからNYに戻るアムトラックの中で書いている。(アップロードする時間がなくて、アップは数日後、ベイルートですることになりました。)アメリカ政府高官(ホワイトハウス国務省国防総省)との1年に1度のPKOに関するコンサルテーションに参加した。インフォーマルなスタイルでおこなわれるこの会合、アメリカ側によれば今年はここ数年の中で最も有意義なものだったという。アメリカ政府とPKO局の関係は、オバマ政権になってからものすごく良好だ。私たちの要請を真摯に受け止め、実に的確に、しかもハイレベルでフォローアップしてくれる。詳しくはもちろん書けないが、「国連PKOの強化は、アメリカの国益にとっても重要」という明確なメッセージである。オバマ政権になってから初めて出てきたアメリカの国家安全保障戦略文書にも、国連PKOに触れている。

そしてヘルシンキフィンランド政府が協力して我々が主催しているPKOミッションの幹部向けの研修プログラム最終日にスピーチ)に一日滞在、昨晩遅くにベイルート着。中東各国をまわり、イスタンブールでの安保理の「リトリート」(泊りがけでインフォーマルにセミナー形式でおこなう会合)にスピーカーとして参加して、10日後にNYに戻る予定だ。

個人的には、日本から両親が3週間ほどきてくれた。「もう歳だから」といいつつも、まだなんとか元気でいてくれるようで安心。その間、出張でいなかったりもしたのだが、子供たちの勉強を見てくれたり、ありがたかった。忙しい仕事を持つ母親には、家族の協力が一番ありがたい。夫も含めて。その点、私は本当に恵まれている。感謝。だから、なお一層、良い仕事をしなくては。