自衛隊、ハイチPKOに到着

  今朝、自衛隊が国連PKOの一部としてハイチに到着した。先週一杯、色々な準備がすすんでいたのだが、2月5日(金)の閣議決定を経て、その2日後には早くも現地入り。ロシアからアントノフ大型輸送機を借り上げ、マイアミに昨日到着。これから40人ずつぐらいのグループに分かれて、毎日ハイチ入りしていく。日本の財力、組織力をもってのみ成し得たすばやい現地派遣であった。これはすごいことです。現地入りと同時に、ハイチ国連PKOの現場で、空港管理に当たっている責任者からすぐメールが入る。同時に、これから14日まで何時に自衛隊が現地入りするのかの詳細なスケジュールまで。本当にうれしい。
  私たち国連の側としては、このハイチ派遣が次に続き、日本が様々なPKO活動に活発に参加してくれることを強く望んでいる。実は、「ハイチをステップに次を」ということをすでに考えている。私自身、PKO局唯一の日本人幹部職員として国連の意を受けて、何度か日本政府側と接触している。

  なぜ日本なのか。国連側の理由は簡単だ。年々、複雑化し難易度の高まるPKO活動の成功には、規律正しく、装備も整い、機動力があって能力の高い軍隊の参加が不可欠なのであるが、そのような軍隊は世界を見回してもそうない。西欧諸国はいまやアフガニスタンで手一杯の感があり(実際、アメリカ政府は、オバマ政権になってから国連PKOにも出したいが、アフガンがひと段落してから、というメッセージだ)、アフガニスタンに派兵していない日本への期待はますます高まるばかりだ。それも、いわゆる特別に高い能力とスキルを必要とする部隊、つまり、ヘリ輸送隊や、今回はハイチにでた施設隊・工兵隊、そして医療隊が強く求められている。いってみれば、歩兵はどの国からでも出せるのだが、輸送・工兵・医療は先進国からでないと難しい分野なのだ。次はぜひ、南スーダンにヘリを出してほしいと、我々国連側では望んでいる。

  国連PKOは、戦争のための海外派兵ではない。紛争の犠牲者である女性や子供といった、最も弱い立場にある市民を保護し、援助し、国づくりを手助けするための派遣である。日本の左翼の人たちの主張は、どう見てもおかしいのだ。彼らの論に従えば、日本は紛争国の市民を2度裏切ることになろう。1度目は、60数年前の戦争で甚大な被害を及ぼしたこと。そして、2度目は、今日、紛争の被害者たちの状況を知りながら、無関心・無行動でいることによって。それでよいのだろうか?

  岡田外相は、PKO5原則の見直しを指示したという。早くこの作業が完了することを、望んでいる。そして一日も早く、PKO一般法が制定されて、日本も国連のPKOを通して、世界の最も悲惨な状況にある人たちとの連帯が出来るようになってほしい。

  少し状況が落ち着いたら、ハイチの自衛隊の皆さんをぜひ激励に行きたい。今、なんとか日本が世界の中で尊敬される国であるのは、彼らのような人たちの働きによるところが大きいのだ。日本を出発する先遣隊の写真を見て、私も誇らしい気持ちになった。